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セッションV(1月5日11:00−12:30)症例検討−チームによるアプローチ

〔症例4〕疼痛と恐怖感の緩和に難渋した神経細胞口(3回目の再発)の少女
日大板橋病院白土辰子
●11歳、F、小児科、ペインクリニック病歴5歳:神経芽細胞腫摘出術(後縦隔原発)7歳:自家骨髄移植9歳:右頸部腫瘍摘出術(再発)、化学療法。退院2カ月に腫瘍マーカー上昇。再入院で治療再開。
11歳:平成8年1月、死の3ヵ月前より疼痛増強。CTで腹部大動脈周囲と左背部に浸潤像を認める。末期の経過
8.2.21:腰背部痛増強のためMSコンチン投与を開始し一時的に寒痛緩和するが、痛み増強に対して医師は増量をためらう。母親はモルヒネ増量希望を看護婦に話す。
3.22:MSコンチン増量困難で疼痛緩和不良。病棟主任の根回しでペインクリニック依頼となる。IVH開始、塩酸モルヒネ持続点滴に変更。痛み増強時にモルヒネ10mgの急速注入で緩和。
3.31:疼痛と不安が増強して不眠。モルヒネ+ケタラール点滴で疼痛緩和。早送りで臨時投与
4.19:恐怖で本人が「眠りたい」と希望したために検討した結果、ドルミカム投与で夜間鎮静。
4.29:永眠
チェックポイント
1)プロフイール
患児は頭脳明断、神経質。希望を明確に主張。納得して治療を受けるタイプ、母親は疾患に関する情報を収集し知識豊富。両親で病室に24時間付き添う。
2)病気および病状の説明
本人へ:「炎症」「炎症をとる治療をする」。末期になって治療法がなくなったとはいえず、具合がよい時のみ放射線治療をする方針で合意する。
家族へ:「神経芽細胞腫」「これ以上治療法はない」「何時急変しても不思議はない」
3)患者の受け止め
長期の入院で同病患者の経過を熟知。本人の訴えは、?痛みをとってほしい、?眠いのはいやだ、?思い、?呼吸が苦しい、?じっとしていられない→これらの症状を「何とかして」→ぐっすり眠りたい→だけど怖い!と言う。
家族の受け止め:「もう駄目ならば家に帰うて少しでも親子3人だけの時間を持ちたい」「痛んだらすぐにモルヒネを増量してほしい」
4)希望事項
親は苦痛緩和と外泊を希望。子供は「良くなるまで帰らない」
5)死の10日前
4.19腹水、胸水、下肢の浮腫↑、坐位でテーブルに寄り掛かったままとなる。
夜間鎮静開始後2〜3日状態安定し、一時的に短時間の散歩が可能となる。
4.26呼吸苦と全身のいたたまれない感じが増強。
頸部腫脹し嚥下困難となる。
「何でも我慢する(治療のこと)から元気な頃に戻して」「(個室は)何時の間にかいなくなる人が入るからいや」「前の部屋に帰りたい」と訴える。
友達の声が聞きたいと希望し病室のドアを開放しスクリーンを立てる。
問題点
医師は小児癌の親は最後まで治療を希望すると信じ、本心は諦めたくない。子供はなぜ治療できないのか納得しない。親は苦痛緩和を願っても医師には強く言えず看護婦に訴える。看護婦は両者の板挟みとなり無力感。小児癌の症状緩和の工夫と医師の意識改革へのアプローチを教えてほしい。

 

 

 

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